学校・プール・浴場が満たすべき水質検査基準と
チェックリスト2025

学校・プール・浴場が満たすべき水質検査基準と<br>チェックリスト2025

公衆浴場や遊泳用プール、学校プールは多くの人が利用する施設であり、利用者の健康と安全を守るためには、厳格な水質管理が不可欠です。特に水系感染症の予防において、適切な水質検査は重要な役割を果たしています。

2025年4月1日から、公衆浴場における浴槽水の水質基準が「大腸菌群」から「大腸菌」へ変更される重要な法改正が施行されました。水質分析.comでは、分析技術者に直接ご相談いただくことができるため、新基準への対応についても安心してご相談いただけます。本記事では、この法改正の背景と具体的な変更内容、そして各施設の事業者が取るべき対応について詳しく解説いたします。

公衆浴場の水質検査基準:2025年改正の詳細

現行基準と改正内容

これまでの浴槽水水質基準(2025年3月31日まで)
- 大腸菌群
- 許容限度:1個/mL

2025年4月1日からの新基準
- 浴槽水の水質基準項目が「大腸菌群」から「大腸菌」に変更
- 許容限度:1個/mL(従来と同じ数値)
- 検定方法:下水の水質の検定方法等に関する省令に規定する方法

改正の背景と意義

従来の「大腸菌群数」の測定方法では、糞便由来ではない菌種も検出されることがあり、糞便汚染を的確に捉えられていない恐れがありました。簡便な大腸菌の培養技術が確立されたことを踏まえ、より的確に糞便汚染を評価できる指標として「大腸菌」が採用されました。
この改正は、環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準の見直し状況を踏まえ、水質汚濁防止法に基づく排出水の規制基準改正と連動しています。

検査項目

お風呂の水の種類により、検査する項目が異なります。

  • 原湯(水)上がり用湯(水)などの場合
    色度、濁度、pH値、過マンガン酸カリウム消費量(または、全有機炭素[TOC]の量)、大腸菌、レジオネラ属菌
  • 浴槽水の場合
    濁度、過マンガン酸カリウム消費量(または、全有機炭素[TOC]の量)、大腸菌、レジオネラ属菌

検査頻度

検査する風呂水の種類換水の頻度、消毒の方法により検査頻度が異なります。

  • 原湯(水)上がり用湯(水)などの場合…年に1回以上
  • 浴槽水の場合
    • ろ過器を使用していない及び毎日完全に換水している浴槽水…年に1回以上
    • 連日使用している浴槽水…年に2回以上(塩素消毒でない場合は年に4回以上)

 

遊泳用プール・学校プールの水質検査基準

遊泳用プールの水質検査項目

遊泳用プールは「遊泳用プールの衛生基準について」(厚生労働省)に基づき、以下の項目で水質検査が実施されます:

検査項目 水質基準 検査頻度
水素イオン濃度 pH値5.8以上8.6以下であること 毎月1回以上
濁度 2度以下であること
過マンガン酸カリウム消費量 12mg/L以下であること
大腸菌 検出されないこと
一般細菌 200CFU/mL以下であること
遊離残留塩素濃度 ※1 0.4mg/L以上であることまた、1.0mg/L以下であることが望ましい 毎日午前中1回以上、午後2回以上 ※3
総トリハロメタン おおむね0.2mg/L以下であることが望ましいこと 毎年1回以上 ※4
レジオネラ属菌 ※2 検出されないこと 年1回以上

 

※1 二酸化塩素により消毒を行う場合は、二酸化塩素濃度は0.1mg/L以上0.4mg/L以下であること。また、亜塩素酸濃度は1.2mg/L以下であること。
※2 気泡浴槽、採暖槽等の設備その他のエアロゾルを発生させやすい設備又は、水温が比較的高めの設備がある場合検査を行う。
※3 このうち1回は、遊泳者数のピーク時に測定することが望ましい。
※4 通年営業、夏季営業のプールは6~9月、それ以外の時期に営業するプールは水温が高めの時期に検査を行う

(出典:遊泳用プールの衛生基準について , 厚生労働省)

重要ポイント:公衆浴場とは異なり、プールでは従来から「大腸菌」が水質検査項目として規定されており、今回の改正対象ではありません。

学校プールの管理

学校に設置されたプールは、学校環境衛生基準に基づいて検査する必要があります。学校用のプールとは、学校教育法第1条に規定される学校※に設置されているプールを言います。児童・生徒の安全確保のため、下記の水質検査項目に基づき、適切な管理が求められます。

※学校教育法第1条に規定される学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、盲学校、聾学校、高等専門学校を指します。

検査項目 水質基準 検査頻度
pH値 5.8以上8.6以下であること 1 回/使用日の積算が30 日以内ごと
濁度 2度以下であること
過マンガン酸カリウム消費量 12mg/L以下であること
大腸菌 検出されないこと
一般細菌 1mL中200コロニー以下であること
遊離残留塩素 0.4mg/L以上であることまた、1.0mg/L以下であることが望ましい
総トリハロメタン 0.2mg/L以下であることが望ましい 1 回以上/使用期間中の適切な時期
循環ろ過装置の処理水(濁度) 循環ろ過装置の出口における濁度は、0.5 度以下であること。また、0.1 度以下であることが望ましい。 1 回/毎学年

 

また、上記の定期的な水質検査のほか、毎授業日に下記の点検を行うものとする、と定められています。

検査項目 水質基準 検査頻度
水中に危険物や異常なものがないこと
遊離残留塩素 どの部分でも0.4mg/L以上保持されていること。1.0mg/L以下が望ましい。 プールの使用前及び使用中1時間ごとに1回以上
pH値 5.8以上8.6以下 プールの使用前に1回
透明度 水中で3m離れた位置からプールの壁面が明確に見える程度 常に留意

 

(出典:学校環境衛生管理マニュアル「学校環境衛生基準」の理論と実践[平成30年度改訂版] , 文部科学省)

 

水質検査の実施と管理

学校・プール・浴場が満たすべき水質検査基準と<br>チェックリスト2025

水質検査の基本的な流れ

  1. 専門検査機関への依頼:水質検査は専門の検査機関に依頼するのが一般的
  2. サンプル採取:適切な方法でのサンプル採取
  3. 検査実施:各項目の分析・測定
  4. 結果報告:検査結果の受領と記録
  5. 保管・報告:定期的な記録保管と必要に応じた保健所等への報告
  6. 改善措置:基準値超過時の速やかな対応

 

事業者向け水質管理チェックリスト

法改正対応チェック

  • 【重要】浴槽水の水質検査は、2025年4月1日以降、「大腸菌」を項目として実施しているか?
  • 公衆浴場の浴槽水について、許容限度「大腸菌:1個/mL」を遵守しているか?
  • 検定方法が省令に規定する方法に準拠しているか?

基本的な水質管理

  • プールの水質検査項目が適切に管理されているか?
  • 各施設の検査頻度を遵守しているか?
  • 信頼できる専門の検査機関に依頼しているか?
  • 検査結果は定期的に記録・保管し、必要に応じて関係機関に報告しているか?

緊急時対応

  • 基準値を超過した場合、速やかに原因究明と改善措置を講じているか?
  • 施設の規模や種類、使用状況に応じて、検査項目や頻度を見直しているか?
  • 従業員への水質管理に関する教育・研修を定期的に実施しているか?

水質分析.comでは、これらのチェック項目への対応について、ヒアリングを通した最適な検査メニューの提案から結果に対するアフターフォローまで一貫してサポートいたします。

 

排水基準の改正について

公衆浴場やプール施設においては、排出される排水についても基準が設けられています。2025年4月1日より、排水基準も「大腸菌群数」から「大腸菌数」に変更されました。

排水基準の変更内容

  • これまでの基準:大腸菌群数「日間平均3,000個/cm³」
  • 新基準:大腸菌数「日間平均800CFU/mL」(2025年4月1日以降)

この改正も環境基準の見直し状況を踏まえ、水質汚濁防止法に基づき行われたもので、より的確な糞便汚染の評価が可能となります。

 

まとめ

2025年の法改正は、公衆浴場やプールにおける水質管理の重要性を改めて浮き彫りにするものです。新しい基準への迅速な対応と、日々の適切な管理が、利用者の健康と安全を守る上で不可欠です。
常に最新のガイドラインや自治体の条例を確認し、必要に応じて専門機関に相談しながら、継続的な水質管理に取り組むことが重要です。水質分析.comでは、新基準に対応した分析検査サービスを提供し、分析技術者に直接ご相談いただくことで、各施設の状況に応じた最適な水質管理をサポートいたします。
2025年4月1日の法改正を機に、より確実で効果的な水質管理体制を構築し、利用者に安心して施設をご利用いただける環境づくりに取り組みましょう。水質検査に関するご相談は、水質分析.comまでお気軽にお問い合わせください。

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