一般細菌ってどんなもの?

今回は、 一般細菌  についてコラムを書かせていただきます。

 

細菌には色々な種類がありますが、飲料水水質検査で検査する細菌検査には、一般細菌や大腸菌があります。飲料水の他に、食品細菌検査でも検査される項目です。

 

この2項目は、11項目、16項目、51項目に含まれている検査項目になりますが、一体どのような菌なのでしょうか?今回は、

 

■ 一般細菌とは?

■ 一般細菌が基準値を超える原因は?

■ 一般細菌が基準値を超えた場合の対策は?

以上の内容についてご説明していきます!

 

 

■ 一般細菌とは?

一般細菌という言葉はあまりなじみがないかもしれませんが、どんなものを想像しますか??実は一般細菌という名前の細菌はなく、簡単に言うといわゆる“ 雑菌 ”のことを指しています。

 

検査する水を培地に1 mL加えて人の体温に近い36℃付近で培養し、培地に生える細菌の総称を、一般細菌と言います。

 

一般細菌は、河川や土壌、食品や空気中、そして私たちの体にも広く存在しています。病原性がないものがほとんどですが、汚染された水ほど一般細菌が多く含まれているため、水の汚染状況を知る目安となる検査項目です。

 

通常病原性のある菌は、一般細菌と比べて塩素に対する抵抗力が弱いため、一般細菌が基準値以下であれば病原菌に対する消毒効果が十分だと判断することができます。ちなみに、一般細菌の水質基準値は水道法で、「1 mL中に100個以下であること」と定められています。

 

実際に、一般細菌が検出された培地を見てみましょう!

 

左が検出された場合、右が不検出の場合です。

一般細菌ってどんなもの?

赤い塊を1個と数え、 1 mL中に何個一般細菌が含まれているか をご報告しています。一般細菌の数が1mLに100個を超えて検出されると、検査結果は「不適合」となり、飲用には適していない水となってしまいます。

 

当社では、一般細菌検査には200 mLの滅菌ビンに採水したサンプルを使い、検査します。

 

検査の結果、「1 mL中に500個」という結果が出た場合、採水した滅菌ビンの中にはなんと10万個もの一般細菌が存在することになるのです!!

 

一般細菌は、通常人体に無害な細菌ですが、病気などで抵抗力が低下している方が感染症(日和見感染)を起こす原因となることがあります。

 

細菌汚染は、目に見えないものです。安全に水を使用するためには、定期的な水質検査をすることがとても重要です。

 

■ 一般細菌が基準値を超える原因は?

水質検査の結果、一般細菌が水質基準値を超えてしまう原因には、どんなものがあるのでしょうか?水道水、井戸水の場合で分けて見ていきましょう。

 

<水道水の場合>

・汚水や異物などが混入した

・貯水槽の清掃が不足している

・水の使用量に対して貯水槽の容量が大きく、残留塩素が消失した

・給湯温度が低く、一般細菌が繁殖した(給湯水の場合)

 

<井戸水の場合>

・汚水や異物などが混入した

・消毒設備の故障

・降雨などによる水質の変動

 

以上のような原因が考えられます。

 

水そのもの以外の原因として、浄水器を取り付けている場合は、活性炭に繁殖した細菌が検出されることもあります。

また、採水時に滞留している水を採水したり、滅菌ビンに汚れた手指が入ってしまうと一般細菌が検出されることがありますので、採水時は十分にご注意ください!

 

一般細菌が基準値を超えて検出された場合は、水が汚染されている恐れがあるため、飲用への使用を中止し、原因を調査する必要があります。

 

特に、ビルやマンション、床面積が3,000平方メートル以上の特定建築物に該当する建物(学校の場合は、8,000平方メートル以上)は、居住者の方や施設の利用者に大きな影響が出ることがありますので、早急な対応が必要となります。

 

■ 一般細菌が基準値を超えた場合の対策は?

水質検査の結果、一般細菌が水質基準値を超えてしまった場合は、下記のような対策を行なって下さい。

 

<水道水の場合>

・貯水槽の清掃を実施する

・残留塩素濃度を0.1 mg/L以上に保持する

・貯湯温度を60度以上、給湯栓から55度以上の湯が出るようにする(給湯水の場合)

 

<井戸水の場合>

・飲用として使用している場合は、煮沸をしてから飲む

・消毒していない場合は、塩素滅菌装置を取り付ける

 装置を取り付けている場合は、正常に稼動しているかと消毒剤の残量を確認する

・浅井戸は周囲の影響を受けやすいため、雨水や汚水が入らないような対策をする

 

上記のような対策をした後、水質検査を再度行ない、水質に異常がないことを確認してください。

 

 

監修 : アムコン株式会社 分析事業部

https://www.amcon.co.jp